熱性けいれんの症状・予兆や起こり方
熱性けいれんは、38℃以上の急な発熱とともに意識障害やけいれんを起こす病気です。
生後6カ月~5歳くらいの子どもに発症し、約半数が繰り返されます。ただ、6歳頃にはほとんど起こらなくなるため、経過は悪くありません。
起こり方のタイプ
多くは発熱してすぐ、けいれんが起こります。熱性けいれんのタイプは、主に以下の3つに分類されます。
強直性けいれん:突然に手足がこわばり突っ張る
間代性けいれん:手足をピクピク・ガクガクとさせる
強直・間代性けいれん:先行して手足のこわばり・突っ張りがあり、その後ピクピク・ガクガクとする
子供が熱性けいれんを起こしたときの対応
熱性けいれんは、けいれんという見た目上ショッキングな症状を伴うため、ほとんどの親御様がひどく驚かれます。
場合によっては、救急外来の受診も必要になるため、冷静に判断し、対応しましょう。
救急車を呼んだ方がいいケース
- 初めて熱性けいれんを起こした
- 生後6カ月未満
- 5分以上けいれんが続いている
- けいれんを繰り返している
- 呼びかけに対する反応が鈍い
- 目線が合わない
- 唇の色が悪い
- 呼吸が不規則、低下している
当日中に受診をおすすめするケース
過去に熱性けいれんが起こり医療機関を受診したことがあり、以下の項目を満たす場合には、当日中、あるいは夜間であれば翌日午前中までに受診すれば、ほとんど問題はありません。
- けいれんは5分未満で治まり、繰り返さない
- 元気な様子を取り戻した
- 会話ができる(赤ちゃんの場合は目線が合う)
熱性けいれんとは?
生後6カ月~5歳くらい、特に2歳までの子どもに好発する病気です。
突然の38℃以上の発熱とともに、意識障害やけいれんを起こします。熱性けいれんは、大きく以下の2種類に分類されます。
①単純型けいれん
発熱後24時間以内に、全身性のけいれんが起こり、数分以内に治まります。けいれんが一度の発熱のあいだに繰り返されることはありません。
なお熱性けいれん全体のうち、約8割を占めます。
②複雑型けいれん
以下の3項目のうち、2項目を満たすのが複雑型けいれんです。
- けいれん症状が15分以上続く
- けいれんが局所的(身体の半分など)
- 繰り返されたり発熱後24時間が過ぎて起こる
複雑型けいれんの割合は、熱性けいれん全体のうち、約2割に留まります。ただし、他の疾患との鑑別のため、入院が必要になることも珍しくありません。
熱性けいれんの原因は「未発達な脳」と「遺伝」
熱性けいれんは、小児のうち8%ほどに見られる病気であり、決して珍しいものではありません。
発育途上にあり大人と比べて未発達な脳であるために体温変化への対応がスムーズにいかないこと、両親からの遺伝などが発症へと影響するものと考えられます。両親に熱性けいれんがある場合、その子どもの熱性けいれんの発症リスクは、そうでない子ども比べて2~3倍高くなると言われています。なお、熱性けいれんのきっかけは発熱です。そのため、風邪、インフルエンザ、突発性発疹といった発熱を伴う疾患であれば、疾患の種類を問わずに熱性けいれんを引き起こす可能性があります。
熱性けいれんの治療と予防方法
治療
けいれんを起こしたときの対応が治療となります。
身体を顔と一緒に横に向け、唾液・吐物が喉に詰まらないように注意するのが基本です。熱性けいれんのうち約8割を占める単純型けいれんであれば、数分以内に治まります。
複雑型けいれんの場合は、けいれんが長引いたり、繰り返したりするため、救急外来の受診が必要になることがあります。
予防方法
ジアゼパムという座薬が有効です。
発熱の早期に使用することで、けいれんの予防が期待できます。
なお、解熱剤の使用は、けいれんの予防にはなりませんので注意が必要です。