小児・思春期のお悩み相談※18歳未満のみ
しかたクリニックでは、おおよそ8~18歳くらいの思春期の方を対象にした、お悩み相談を行っております。
思春期は、身体と心が子どもと大人の間にあり、ちょっとしたことで深く思い悩んでしまったり、傷ついてしまったりします。「誰もが経験することだから」と強く乗り越えてほしいという期待が、思わぬ重荷になり、疾患の発症や症状・状況の悪化につながることもあります。
以下に該当する場合には、お早めに当院にご相談ください。
※検査・専門治療が必要な場合は、専門機関に紹介させていただきます。
対象となる病気・症状
- 学校に行けない、不登校
- 家・自分の部屋に引きこもりがち
- 食事が普通にできない
- 疲れやすい
- 立ちくらみが頻繁に起こる
- 朝起きられない、午前中は調子が悪い
- 食欲不振が続く
- 低身長
- 夜尿症
診療の流れ
問診票にご記入いただき、その上で現在の状況、これまでの状況などについて詳しくお伺いします。
疾患が疑われ、専門的な検査・治療が必要と思われる場合は専門病院への紹介となります。
起立性調節障害
自律神経の異常によって、循環器の適切な調整が困難になる病気です。立ち上がったときの血圧低下・心拍数の上昇などが顕著な症状です。
【症状】
- 立ちくらみ、めまい
- 顔色が青白い
- 立っているときの気分の悪さ、湿疹
- 食欲不振、腹痛
- 動悸、息切れ
- 倦怠感
- 特に午前中の調子が悪い
【原因】ストレスやスマホは関係する?
起立性調節障害の原因は、自律神経の乱れによって起こります。そのため、ストレス、不規則な生活リズム、睡眠不足などは、代表的なリスク要因となります。
またスマホも、使い方によっては発症に影響します。スマホゲームや動画で夜更かしをしたり、SNSなどの利用によって人間関係のストレスを抱えたりすると、発症リスクは高くなると言えるでしょう。
【治し方】いつまで続く?
日常生活での工夫
自律神経のバランスを整えるため、決まった時間にベッドに入る、日中に適度な運動を行う、十分に睡眠時間を確保するといったことが大切です。
また、立ち上がる動作をゆっくり行ったり、起立・静止した状態で2分以上過ごさないよう気を付けたり、小まめに水分を摂るといったことも有効です。
学校との連携・環境調整
学校での人間関係を確認・改善するため、また起立性調節障害に配慮した学校生活を送るためにも、学校との連携は欠かせません。
環境調整には、親から子への対応も含まれます。叱責したり、無理やりベッドから起こしたりすると、かえって逆効果になってしまいます。
学校の先生と連携し、親子で「身体の病気であり、治療が必要であること」を理解することが大切です。
薬物療法
上記の対応で改善が見られない場合には、ミドドリン塩酸塩などを用いた薬物療法を導入します。
ミドドリン塩酸塩は、低血圧症の治療に用いられる薬です。
親ができることはある?
先述の通り、起立性調節障害の治療においては、親子で「身体の病気であり、治療が必要であること」を知ることが大切です。
一見、怠け・わがままに思われますが、叱ったり責めたりといった行為は厳禁です。親子関係の悪化がストレスとなり、症状を悪化させてしまうことがあります。
親御様にできるのは、優しく声掛けをして、常にお子様の味方でいてあげることです。
すでに学校で偏見の目で見られている可能性もあり、親御様が寄り添わなければ、本当にひとりぼっちになってしまうことがあります。
もちろん、医療機関の受診をさせること、学校との連携をとることも、治療において欠かせない取り組みです。
不登校
不登校とは、「病気や経済的理由以外で、年間30日以上学校を休んでいる状態」を指します。
不登校になる原因は?
不登校そのものは病気ではありませんが、不登校の原因に、病気が隠れていることがあります。
起立性調節障害
自律神経の異常によって、循環器の適切な調整が困難になり、起立時の血圧低下や心拍数上昇などが見られる疾患です。
立ちくらみ、めまい、寝起きが悪い、倦怠感、動悸・息切れなどの症状が見られます。
適応障害
いじめなどをきっかけに不安や抑うつ気分が現れ、社会生活に支障をきたした状態です。
その他、感情の高ぶり、集中力の低下、不眠、摂食障害などの症状が見られることもあります。
不安障害
通常人が感じるよりも極度の不安に囚われ、自身でのコントロールができず、社会生活に支障をきたしている状態です。
人の注目が集まる場所で強い不安・恐怖を感じる「社交不安障害」、学校(・会社)での活動や健康についての過度の心配が続く「全般不安障害」、わけもなく突然動悸・めまい・発汗・窒息感・吐き気などの症状に襲われる「パニック障害」などがあります。
気分障害
長期にわたって過度に気持ちがふさぎ込むうつ病、過度に気持ちが高揚する躁病、あるいはその両方を認める感情的な障害のことを指します。
強迫性障害
自分でも「たいしたことではない」と理解しながら、そのことが頭から離れず、何度も同じ確認をしてしまうことで社会生活に支障をきたしている状態です。汚いはずのない手を汚れていると思い込み何度も洗ってしまう、鍵を締めていないと気になり何度も引き返し確認してしまう、といった例がよく知られています。
ただ子どもの場合は、大人のようにその異常性を自覚ができていないケースも少なくありません。
パーソナリティ障害
多数派とは違う反応・行動をすることで本人または周囲が困ってしまう状態を指します。まわりからは「風変り」「奇妙」「演技的」「感情的」「移り気」「不安げ、内向的」と見られることが多くなります。
統合失調症
妄想や幻覚といった精神症状、意欲低下、認知機能低下、感情が現れにくいといった症状を伴う精神疾患です。はっきりとした原因は分かっていませんが、統合失調症になりやすい体質が遺伝している可能性が指摘されています。
対人恐怖・妄想性障害
まわりの人にどう思われているのかという不安があり、そのことで人と交流することを回避するなど、社会生活に支障をきたしている状態が対人恐怖症です。
妄想性障害とは、何らかの誤った思い込み(友人や家族がスパイである等、通常ありえないこと)が続いている状態を指し、身近な人との人間関係を壊してしまうこともあります。
広汎性発達障害
周囲の人への興味が薄い、コミュニケーションをとるのが苦手、強いこだわりがあるといったことから、人とのかかわりが困難になる障害です。思春期以降では、喋り方に抑揚がない、人の感情やまわりの空気が読めない、何げない会話(雑談)ができない、一方で興味・関心のあることに没頭するといった様子が見られます。
注意欠如・多動性障害
発達障害の一種です。年齢に見合わない不注意、興味・関心に極端な偏りがある多動性、思い付きをすぐに行動に移してしまう衝動性が認められます。
ケアレスミスが他の子どもよりも多発する、目立つということから、家庭だけでなく学校やグループ内などにおける社会生活に支障をきたします。
知的障害・学習障害
知的障害とは、知的機能の障害によって日常生活においてさまざまな支障をきたしている状態を指します。複雑な文章の理解や会話、買い物をするときのおつりのやりとりが苦手なケースが目立ちます。
一方で学習障害とは、知的発達に遅れはないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった能力が得られない・発揮できないことで、学校の勉強などでさまざまな困難が生じている状態を指します。
子供が不登校になったらどうしたらいい?
不登校になると、親御様はどうしても不安になります。ただ、まずは慌てないように、感情的にならないようにしてください。
そして親御様が心配になるのは、「将来のこと」ではないでしょうか。
もちろん、現在が将来につながっているわけではありますが、「将来をより良くするために、この子の場合は、今を我慢強く生きることが大切なのだ」と考えてあげてください。
そして、不登校であること、ご自身が心配していることよりも、「お子様を愛していること、何があっても味方であること」を示してあげてください。
治療方法
不登校の原因となっている治療がある場合には、その治療を行います。
主にカウンセリングや日常生活におけるアドバイスを行います。また場合によっては、薬物療法を導入します。
必要に応じて、より専門的な医療機関・施設をご紹介いたします。
摂食障害
摂食障害とは、食事量・食べ方など、食事に関連する行動に異常が認められたり、体重・体型に対して極端な考え方に囚われてしまったりする障害です。思春期以降の女子・女性によく見られますが、近年は発症時期の低年齢化が進んでいます。
大きく、拒食症と過食症に分けられます。
摂食障害の分類と症状・診断基準
拒食症(神経性無食欲症)
体重が増えることに強い不安・恐怖を持ち、まったく食べない、食べてもごく少量という状況です。実際は痩せ型であるにもかかわらず、「太っている」「まだまだ痩せられる」と思い込み、病気であることを自覚していないケースが目立ちます。
また、衝動的にたくさん食べ、その後意図的に吐いてしまうというケースも見られます。
症状
- 食事を摂らない、食べてもごく少量
- 過食と嘔吐の繰り返し
- 実際には痩せているが、太っていると思い込む
- 痩せようと無理な運動をする
- 無気力、意欲低下
- 抑うつ
- 無月経、低体温、貧血
- 脱毛、産毛が濃くなる
- 冷え
- 皮膚の乾燥
- 味覚障害
など
診断基準
以下に該当する場合に、拒食症と診断されます。
- BMIが17.5以下 ※BMIは、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で算出します。
- 食事を避け、意図的な嘔吐・下剤の使用・過度の運動・食欲減退剤または利尿剤の使用のうち1つ以上が認められる。
- 太ることを恐れ、実際は痩せているにもかかわらず、「太っている(痩せなければならない)」という強迫的な思考がある。
過食症(神経性大食症)
抑えがたい食欲によって、大量の食事を摂ります。一方で、体重が増えることに抵抗があり、意図的な嘔吐や下剤の使用を繰り返してしまうケースも見られます。
症状
- 抑えがたい食欲がある
- 一度食べ始めると止められない
- 意図的な嘔吐、下剤の乱用
- 不安、自己嫌悪
- 抑うつ
- 虫歯、口内炎
- 食道裂孔ヘルニア
診断基準
以下に該当する場合に、過食症と診断されます。
- 持続的に食事に没頭し、食欲を抑えられない。短時間に大量の食べ物を食べてしまうことがある。
- 一方で太りたくないと考えており、意図的な嘔吐・下剤の乱用・絶食・食欲減退剤または利尿剤の使用のうち1つ以上が認められる。
- 太ることを恐れ、厳しい体重制限を課す。
摂食障害のサイン
最近は、小中学生でもダイエットを意識している子どもが少なくありません。親子で一緒にダイエットをしている、というケースもありますが、そういった場合には特に異変を見落としやすいため、注意してください。お子様は身体の発育段階にあり、通常は身長が伸び、体重が増える時期です。
以下のような言動、様子が認められた場合には、摂食障害である可能性を考えましょう。
- 空腹になるはずの時間に食事をほしがらない、食事を抜く
- 明らかな体重減少がある(身長が伸びているのに体重が変わらない)
- 給食を食べていない、たくさん残している
- 肉、脂っこいものを極端に避ける
- 自分の身体、脚、腕などが「太い」と不満を言う
- 料理番組などへの興味がなくなった
- 自らの意思で過剰な運動に没頭する
- 家族に食事を譲る、多く食べさせようとする
- 慢性的な便秘、体温が低い
- 脱毛
摂食障害の治療
環境調整、行動療法、認知療法、対人関係療法、薬物療法などのうちから、必要な治療を選択します。
うつ病や不安障害、低カリウム血症、虫歯、逆流性食道炎、低アルブミン血症、便秘などを合併している場合には、その治療も必要です。
また特に拒食症の場合、低栄養状態に陥り、なおも本人が食事を拒否する場合には、入院治療が必要になります。