子どもが学校に行きたくないと言う…「不登校」とは?
不登校とは、「病気や経済的理由以外で、年間30日以上学校を休んでいる状態」を指します。
2020年度の文部科学省の調査によると、小学校と中学校でいずれも1%、高校で1.4%の生徒が不登校の状態にあると報告されています。
不登校の初期症状は不調のサイン
どのような症状が起こる?
お子様ご本人が「なぜ学校に行かないか」を言葉で明確に説明することは難しく、ご家族がそのサインを読み取ってあげることが大切になります。
以下のようなサイン(症状)が続いている、あまりにも頻繁に繰り返されるという場合には、注意が必要です。
このような症状はありませんか?
- 頭痛
- 吐き気
- 腹痛
- 倦怠感
- 強い不安感
- 不眠、寝起きが悪い
- イライラ、無気力
- 食欲不振
- 休み明けの体調不良
不登校は病気なの?
不登校は病気ではありません。
ただし不登校の原因に、病気や発達障害が潜んでいるため、不登校になるケースも見られます。
その他の要因には、子ども自身、学校での生徒・教師との人間関係、家族との関係など、さまざまな要因が重なって起こります。
不登校の原因
不登校になる原因として、代表的なものをご紹介します。単独で原因となることもあれば、複数が重なって起こることもあります。
無気力
不登校の原因として、子ども本人によってもっともよく挙げられるのが「無気力」です。
受験での燃え尽き、進級に伴うクラス替え、理想とのギャップなどをきっかけに無気力になってしまうケースが多いようです。
こういったときに無理に登校を促しても、逆効果になる可能性が高くなります。まずは学校を休むことを認め、家庭では生活リズムが崩れないような時間の使い方をさせるのが良いでしょう。おつかいをしてもらったり、家事を手伝ってもらったり、一緒に外出したり(遊び目的でも構いません)といったことで、昼夜逆転生活やゲーム・テレビ漬けを避けましょう。
家庭環境の悪さ・非行
家族との関係が悪くなり、夜遅くの外出などが増えることで、非行に誘われるというケースは少なくありません。学業やスポーツでの失敗・挫折がきっかけになることもあります。
親の監視・干渉の度が過ぎている、あるいはまったく逆で無関心である場合も、家族関係の悪化につながります。
勉強やスポーツができる・できない、言うことをきく・きかないではなく、「そのままのあなたを愛している」ということを、さりげない行動や言葉で示してあげることが大切です。
勉学についての悩み
勉強が不得意で学校の授業についていけない子どもだけでなく、相対的に成績は優秀だけれど自分自身・親の理想とギャップがある子どもも、悩んでいることが少なくありません。
ケースによって対応は異なりますが、学力を上げること、成績ではなく頑張っていることを褒めてあげることなどが必要です。
学力向上のためには、親御様が直接勉強を教えてあげるのも1つですし、家庭教師、塾などを利用するのも良いでしょう。家庭教師・塾を利用する場合には、現在の学力に見合った、無理のない指導をしてくれるところを選びましょう。
精神が未熟
年齢に応じた親離れができていないと、嫌いな授業や運動を避けるために学校を休んでしまうということがあります。
幼い頃から「自分でできる」ことを実感するため、勉強・運動・遊びにおけるチャレンジを繰り返すことが大切です。ただ、急に自立心が確立するわけではありません。不登校に至ってしまった場合には、学校・家族・専門機関が協力して、継続してサポートをすることが必要になります。
神経症
強い・偏ったこだわりがある、わけもなく不安になる、漠然とした不安から落ち込むなど、ストレスによって精神的負担が生じて通常の行動・生活が困難になることを神経症と呼びます。
中には、精神疾患を原因として神経症が現れているケースもあるため、早めの受診が必要になります。
発達障害
学習障害や注意欠如・多動性障害といった発達障害が原因となって不登校に至るケースもあります。
学習障害では、知的発達に遅れは認められないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった能力が得られない・発揮できないために、学業においてさまざまな困難をきたします。これが劣等感や無気力につながり、不登校に至ることがあります。
注意欠如・多動性障害とは、不注意や多動性、衝動性が認められる発達障害です。まわりの生徒から、あるいは教師から白い目で見られることなどで学校での居場所を失っていき、不登校になることがあります。
不登校が治るきっかけは?
不登校が治るきっかけはとしては、家族からの愛を自覚すること、学力が向上すること、何らかの分野で自信を獲得すること、疾患や障害を改善することなどが挙げられますが、子どもによってさまざまです。原因が分かれば、ある程度の目安をつけてきっかけづくりをサポートすることが可能です。
ただ、きっかけを押し付けないように注意しましょう。突然何かの習い事をさせようとしたり、無理にどこかへ連れて行こうとすると、子どもは親の意図を敏感に読み取ります。親御様には、「させる」のではなく、「したいと言う・示すのを待つ根気強さ」が必要です。
ご相談の際には、個別に、細やかなアドバイスをさせていただきます。
受診の目安
不登校だからといって、必ず受診が必要になるわけではありません。
ただ、原因がはっきりしない頭痛や腹痛、無気力・無関心といった症状がある、人とのコミュニケーションや興味・関心の抱き方にも何らかの気になる点があるという場合には、医療機関の受診が必要と言えます。
不登校の治療
1つひとつのケースによって、学校環境、家庭環境などの背景、またお子様の心身の状態は異なります。個別性を優先した、きめ細やかな治療、援助を行います。
何らかの疾患や障害が疑われる場合には、薬物療法を含めた専門的治療を検討します。当院では必要・ご希望に応じて、より専門的な検査・治療ができる医療機関や施設と連携して、お子様、親御様を支えます。
また親御様におきましても、早急な登校の再開を目指したり、促すことはせず、原因に応じた治療・援助にご協力くださいますよう、お願いします。